営業で成果を出している人は、「話すのが上手い人」だと思われがちです。
しかし実際には、契約率の高い営業担当者ほど、よく話すのではなく質問が上手いという共通点があります。
お客様が本当に求めていることを理解できなければ、どれだけ優れた商品でも契約にはつながりません。
だからこそ営業では、説明力よりも質問力が重要になります。
この記事では、営業で成果を上げるための質問の考え方や具体例、やってはいけない質問、AIを活用した練習方法まで詳しく解説します。
- 営業で質問力が重要な理由
- 質問には3つの目的がある
- オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分けよう
- 営業20年以上で感じる「質問が上手い営業」の特徴
- 質問力とヒアリング力の違い
- AIを活用すると質問力は短期間で伸ばせる
- 成果につながる質問の基本は「浅く聞いて、深く掘る」こと
- 質問を深掘りする「5W1H」の活用法
- 商談でそのまま使える質問例
- 質問した後は「沈黙」を怖がらない
- こんな質問は逆効果になる
- 営業20年以上で感じる「質問が続く人」の共通点
- 質問の後は「提案」ではなく「確認」をする
- AIで質問力をさらに磨こう
- 営業の質問力チェックリスト
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
- 営業力をさらに伸ばしたい方はこちらの記事もおすすめです
- コミュニケーション力を高めたい方へ
営業で質問力が重要な理由
営業の目的は商品を説明することではありません。
お客様が抱えている課題を理解し、その課題を解決する方法を一緒に考えることです。
そのためには、営業担当者が一方的に話すのではなく、お客様に話していただく時間を増やす必要があります。
質問が上手な営業担当者ほど、お客様自身が課題を整理できるため、自然と提案にも納得していただきやすくなります。
営業活動全体の流れを知りたい方は、まず営業の教科書をご覧ください。質問力が営業プロセスのどこで重要になるのかを体系的に理解できます。
質問には3つの目的がある
営業で質問する目的は、大きく分けると次の3つです。
- 現状を知る
- 課題を明確にする
- 理想の状態を共有する
例えば、いきなり「導入しませんか」と提案しても、お客様は必要性を感じられません。
しかし、「現在はどのような方法で運用されていますか?」と質問し、「その中で困っていることはありますか?」と続けることで、課題が自然と見えてきます。
質問とは情報収集だけでなく、お客様自身に課題を整理していただくためのコミュニケーションでもあるのです。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分けよう
オープンクエスチョン
自由に答えていただく質問です。
- 現在はどのような運用をされていますか?
- 今回お問い合わせいただいたきっかけを教えていただけますか?
- 最近お困りのことはありますか?
会話を広げたい場面や、本音を引き出したい場面で効果を発揮します。
クローズドクエスチョン
「はい」「いいえ」や選択肢で答えられる質問です。
- 導入時期は今年度中をご予定でしょうか?
- 現在はクラウドをご利用ですか?
- ご担当者様はお一人でしょうか?
認識を確認したり、情報を整理する場面で役立ちます。
この2つをバランス良く使い分けることが、自然な商談につながります。
営業20年以上で感じる「質問が上手い営業」の特徴
新人の頃は、「何を質問すればいいのか」ばかり考えていました。
しかし経験を重ねるにつれて、本当に成果を出している営業担当者は質問をたくさんしているのではなく、「相手が答えやすい質問」をしていることに気付きました。
そして、お客様の答えを最後まで聞いています。
質問力とは、質問を覚える技術ではありません。
相手に興味を持ち、「もっと知りたい」という姿勢そのものなのです。
質問力とヒアリング力の違い
質問力とヒアリング力は似ていますが、意味は少し異なります。
質問力は、お客様から情報を引き出すための技術です。
一方、ヒアリングは質問を通して情報を整理し、課題を明確にするプロセス全体を指します。
ヒアリング項目や質問の順番について詳しく知りたい方は、営業のヒアリングシート完全ガイドをご覧ください。実際の商談で使えるヒアリングシートも紹介しています。
AIを活用すると質問力は短期間で伸ばせる
質問力は、本を読むだけでは身につきません。
実際に質問し、相手の反応を見ながら改善を繰り返すことが重要です。
最近では生成AIを相手役にすることで、一人でも商談のロールプレイを何度でも行えるようになりました。
AIプロンプト例
あなたは従業員100名の製造業で総務部長をしています。私は営業担当者として商談を行います。私の質問に自然に回答してください。質問が浅い場合は、商談終了後に改善点も教えてください。
AIとの練習を続けることで、「質問する→改善する」のサイクルを短期間で回せるようになります。
第2部では、商談でそのまま使える質問例や、質問を深掘りするテクニックを具体例付きで紹介します。
成果につながる質問の基本は「浅く聞いて、深く掘る」こと
営業初心者ほど、最初から細かい質問をしてしまう傾向があります。
しかし、お客様との信頼関係ができていない状態で踏み込んだ質問をすると、尋問されているような印象を与えてしまうことがあります。
そのため、営業では「浅く聞いて、深く掘る」ことが基本です。
まずは答えやすい質問から始め、会話が進むにつれて少しずつ深掘りしていきましょう。
質問を深掘りする「5W1H」の活用法
質問が続かない人は、「5W1H」を意識するだけでも会話が広がります。
| 項目 | 質問例 |
|---|---|
| What(何を) | 現在どのようなサービスをご利用ですか? |
| Who(誰が) | 主にご利用されるのはどなたですか? |
| When(いつ) | 導入をご検討される時期はいつ頃でしょうか? |
| Where(どこで) | どちらの拠点で利用される予定ですか? |
| Why(なぜ) | その方法を選ばれている理由を教えていただけますか? |
| How(どのように) | 現在はどのような流れで運用されていますか? |
特に「Why(なぜ)」は課題を深掘りする際に効果的ですが、聞き方によっては詰問のように聞こえることがあります。
「差し支えなければ」「もし可能でしたら」といったクッション言葉を添えると、柔らかい印象になります。
商談でそのまま使える質問例
現状を把握する質問
- 現在はどのような方法で運用されていますか?
- 導入されたきっかけを教えていただけますか?
- 現在のご担当者様は何名いらっしゃいますか?
課題を把握する質問
- 現在、一番お困りのことは何でしょうか?
- 改善したいと感じる点はありますか?
- 業務の中で時間がかかっている作業はありますか?
理想を確認する質問
- 理想的な運用はどのような状態でしょうか?
- 今回導入されるとしたら、何を一番期待されますか?
- 成功したと言える状態はどのような状態ですか?
これらを順番に質問することで、お客様自身も課題を整理しやすくなります。
質問した後は「沈黙」を怖がらない
質問をした直後、相手がすぐに答えないことがあります。
この沈黙に耐えられず、自分から話し始めてしまう営業担当者は少なくありません。
しかし、お客様は考えているだけかもしれません。
数秒待つだけで、本音を話していただけるケースも多くあります。
質問をしたら、相手が話し終わるまで待つことも質問力の一つです。
こんな質問は逆効果になる
質問にも、避けた方が良い聞き方があります。
| NG例 | 改善例 |
|---|---|
| なぜ導入しないんですか? | 導入にあたって気になる点はございますか? |
| どうしてそんな運用なんですか? | 現在の運用を選ばれた理由を教えていただけますか? |
| 本当に困っていないんですか? | 現状で改善したい点はございますか? |
質問は、相手を追い込むためではなく、理解するために行うものです。
営業20年以上で感じる「質問が続く人」の共通点
質問が上手な営業担当者ほど、「次に何を聞こう」と考えていません。
相手の話を真剣に聞いているからこそ、自然と次の質問が浮かんできます。
逆に質問リストだけを見ながら商談をすると、会話は不自然になります。
私自身も若い頃は質問を覚えようとしていました。
しかし本当に大切なのは、質問を覚えることではなく、お客様の話に興味を持つことでした。
興味を持てば、自然と質問は続いていきます。
質問の後は「提案」ではなく「確認」をする
課題が見えてきたら、すぐに提案へ移るのではなく、一度整理しましょう。
例えば、次のように確認します。
「つまり現在は〇〇という課題があり、特に△△でお困りという認識でよろしいでしょうか?」
この確認を挟むことで、お客様との認識を合わせた状態で提案へ進めます。
課題整理から提案へつなげる流れについては、営業の提案書完全ガイドでも詳しく解説しています。
AIで質問力をさらに磨こう
生成AIを活用すれば、さまざまな業種・役職を想定した商談練習ができます。
AIプロンプト例
あなたは情報システム部長です。私は営業担当としてヒアリングを行います。質問に自然に回答してください。商談終了後、質問の順番・深掘り・傾聴について100点満点で評価し、改善点も教えてください。
第3部では、質問力を高めるためのチェックリストやFAQ、営業20年以上の経験から感じたポイント、関連記事を紹介します。
営業の質問力チェックリスト
商談前後に、次のポイントを確認してみましょう。
- □ 商品説明より先に現状を質問できた
- □ オープンクエスチョンを使えた
- □ クローズドクエスチョンで認識を確認できた
- □ お客様の回答を最後まで聞けた
- □ 回答に対して深掘りの質問ができた
- □ クッション言葉を使って質問できた
- □ 課題を整理して確認できた
- □ 提案前に認識合わせができた
すべて完璧にできる必要はありません。
毎回一つずつ改善していくだけでも、質問力は着実に伸びていきます。
よくある質問(FAQ)
質問が思いつかなくなったらどうすればいいですか?
無理に質問を続ける必要はありません。相手が話した内容を繰り返したり、「もう少し詳しく教えていただけますか?」と聞くだけでも会話は続きます。
営業では話す力と質問力のどちらが重要ですか?
どちらも重要ですが、多くの場合は質問力の方が成果に直結します。課題を正確に把握できれば、提案内容も自然と相手に合ったものになります。
質問すると尋問のようになってしまいます。
一問一答にならないよう、「ありがとうございます」「なるほど、それは大変ですね」と共感を挟むことが大切です。会話のキャッチボールを意識しましょう。
質問力は才能ですか?
いいえ。質問力は経験と練習で身に付くスキルです。AIを使ったロールプレイや商談の振り返りを続けることで、誰でも改善できます。
まとめ
営業で成果を出すためには、商品の知識や話し方だけでは十分ではありません。
お客様の状況や課題を正しく理解するための質問力があってこそ、本当に価値のある提案ができます。
質問力を高めるポイントを振り返ると、次のとおりです。
- 質問の目的を理解する
- オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
- 5W1Hを意識して深掘りする
- 沈黙を恐れず、相手の話を最後まで聞く
- 提案前に課題を整理・確認する
- AIを活用して繰り返し練習する
質問力は、一度身に付ければ営業だけでなく、社内コミュニケーションやマネジメントなど、あらゆる場面で役立つ一生もののスキルです。
営業力をさらに伸ばしたい方はこちらの記事もおすすめです
営業スキルを体系的に学びたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
コミュニケーション力を高めたい方へ
営業では、質問力だけでなく、相手との信頼関係を築くコミュニケーション力も重要です。
職場や営業現場での対話力をさらに磨きたい方は、Human Relationship UPもチェックしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


コメント