「今月も売上目標に届かなそうだから、もっと営業活動を増やそう」
「アポイント数が少ない。とにかく電話を増やそう」
「商談件数は多いのに、なぜか売上が伸びない」
営業をしていると、このように数字について考える場面が多くあります。
しかし、売上だけを見ていても、どこを改善すれば目標に近づけるのかは分かりません。
そこで重要になるのがKPIです。
KPIを設定すると、
- アプローチ数が足りないのか
- アポイント獲得率が低いのか
- 商談数が足りないのか
- 商談から受注につながっていないのか
- 平均受注単価が低いのか
といったように、売上目標を達成するために改善すべきポイントを見つけやすくなります。
営業KPIは、営業担当者を管理するためだけの数字ではありません。「売上目標との差を、どこで埋めればいいのか」を見つけるための数字です。
この記事では、営業で見るべき代表的なKPI、売上目標からKPIを逆算する方法、KPI管理がうまくいかない原因、営業会議での使い方まで実務で使える形で解説します。
そのまま使える営業KPI設定テンプレートも紹介するので、「営業KPIを何にすればいいか分からない」という人も参考にしてください。
- 営業KPIとは?
- KGI・KPI・行動指標の違い
- 営業でKPIが必要な3つの理由
- 営業KPI管理がうまくいかない5つの原因
- 営業KPIは売上目標から逆算して作る
- KPIは過去の実績を使って逆算する
- 営業で見るべき代表的なKPI
- KPIは単独ではなく「つながり」で見る
- 営業KPIで最初に見るべきは「どこが詰まっているか」
- 営業KPI一覧|新規・商談・受注・既存顧客で整理
- そのまま使える営業KPI設定シート
- KPI設定シートの使い方
- KPIを増やしすぎない|重点KPIは3〜5個から考える
- 個人営業と営業チームではKPIの見方が違う
- KPIは目標値だけでなく「転換率」を見る
- KPIは週次で確認する
- KPI未達でも、すべての活動量を増やさない
- 営業KPIとPDCAをつなげる
- KPI設定で大切なのは「営業担当者が理由を理解できること」
- 営業KPIのゴールは「数字を管理すること」ではない
- KPI未達のときは「どこが悪いか」で改善策を変える
- KPI改善は「量・率・単価」の3つに分けると考えやすい
- 営業会議で見るべきKPIは何?
- 営業会議で使えるKPI報告テンプレート
- KPIを使って営業担当者を「詰める」のは逆効果
- 良いKPIは営業担当者自身が改善に使える
- Excel・スプレッドシートで営業KPIを管理する方法
- 営業KPIをグラフにすると変化を見つけやすい
- ChatGPTを使って営業KPIを分析する方法
- KPI改善は一度に1〜2個へ絞る
- 営業KPIは3か月ごとに見直す
- 営業KPIに関するよくある質問(FAQ)
- 営業KPI運用チェックリスト
- まとめ|営業KPIは「頑張る場所」を数字で見つけるために使う
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営業KPIとは?
KPIは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では一般的に重要業績評価指標と呼ばれます。
簡単に言えば、最終的な目標を達成するために、途中の営業活動がどこまで進んでいるかを確認する指標です。
例えば、月間売上1,000万円を目標にしているとします。
月の途中で売上が500万円だった場合、
「あと500万円足りない」
ことは分かります。
しかし、それだけでは何をすればいいのか分かりません。
そこで、
- 受注件数
- 商談数
- 受注率
- アポイント数
- アポ獲得率
- 新規アプローチ数
などの数字も確認します。
すると、
「商談数は足りている。しかし受注率が低い」
あるいは、
「受注率は悪くない。しかし商談数そのものが足りない」
というように、改善すべき場所が見えてきます。
KPIの役割は、結果だけを見るのではなく、結果につながる途中の数字を見えるようにすることです。
KGI・KPI・行動指標の違い
営業KPIを考えるときに整理しておきたいのが、KGI・KPI・行動指標の違いです。
KGI|最終的に達成したい目標
KGIは「Key Goal Indicator」の略で、最終的に達成したい目標を表します。
営業なら、例えば、
- 年間売上1億円
- 月間売上1,000万円
- 年間新規契約100件
などです。
つまり、
最終的にどこへ到達したいのか?
を示す数字です。
KPI|目標達成までの途中を確認する数字
KGIを達成するための途中の指標がKPIです。
例えば月間売上1,000万円を達成するために、
- 受注10件
- 商談40件
- アポイント50件
が必要なら、これらをKPIとして確認できます。
KPIを見ることで、月末に売上が確定する前から、
「このままでは商談数が足りない」
と気づけるようになります。
行動指標|KPIを達成するための具体的な行動
さらにその手前には、営業担当者自身がコントロールしやすい行動があります。
例えば、
- 電話件数
- メール送信数
- 新規アプローチ数
- 既存顧客へのフォロー件数
などです。
整理すると、
KGI:どこを目指すか
KPI:そこへ到達するために何を達成するか
行動指標:その数字を作るために何をするか
という関係になります。
営業でKPIが必要な3つの理由
① 売上が足りない原因を分解できる
売上未達という結果だけを見て、
「もっと頑張ろう」
と言っても、具体的な改善にはつながりにくいでしょう。
例えば売上が不足している原因が、
- アプローチ数不足
- アポ獲得率低下
- 商談不足
- 受注率低下
- 平均単価低下
のどこにあるかによって、取るべき行動は変わります。
アポ獲得率は高いのにアプローチ数が少ないなら、接触数を増やす方法を考えます。
一方、商談数が十分なのに受注率が低いなら、ヒアリングや提案、クロージングなどを見直したほうがよいでしょう。
KPIを分解すると、「売上が足りない」を具体的な改善課題へ変えられます。
② 月末になる前に未達の兆候を見つけられる
売上は結果指標なので、数字が確定したあとでは取り返せないことがあります。
例えば月末に、
「売上が300万円足りませんでした」
と分かっても、その月の営業活動をやり直すことはできません。
しかし月の前半で、
「必要商談数40件に対して、現在10件しかない」
と分かれば、まだ対策できます。
新規アプローチを増やしたり、休眠顧客へ連絡したり、既存案件のフォローを強化したりできます。
KPIは、最終結果が出る前に異常を発見するための早期警戒指標としても使えます。
③ 改善すべき営業プロセスが分かる
営業活動は、一般的に、
アプローチ → アポイント → 商談 → 提案 → 受注
というように複数のプロセスで構成されています。
KPIを設定すると、どこで数字が落ちているのか確認できます。
例えば、
| 指標 | 実績 |
|---|---|
| アプローチ | 200件 |
| アポイント | 40件 |
| 商談 | 32件 |
| 提案 | 20件 |
| 受注 | 4件 |
という結果だったとします。
ここから各段階の転換率を確認すれば、どこを改善すれば受注を増やしやすいか考えられます。
単純にすべての活動量を増やすのではなく、ボトルネックになっている工程を改善するという考え方ができるようになります。
営業KPI管理がうまくいかない5つの原因
KPIを設定すれば自動的に営業成績が上がるわけではありません。
設定方法を間違えると、数字を入力することだけが仕事になってしまいます。
① KPIを設定しすぎる
営業活動を細かく分析しようとすると、管理したい数字はいくらでも増えます。
例えば、
- 架電数
- メール数
- アポイント数
- 商談数
- 提案数
- 見積数
- 受注数
- 訪問数
- 既存顧客フォロー数
などです。
しかし、10個も20個も重点KPIを設定すると、結局どれを改善すべきか分からなくなります。
「この数字が変われば売上目標へ近づく」と説明できる重要な指標に絞ることが大切です。
② 売上とのつながりが分からない
例えば、
「毎日50件電話する」
という目標を設定したとします。
しかし、50件という数字が売上目標から逆算されていなければ、達成しても売上につながるとは限りません。
重要なのは、
なぜ50件必要なのか?
を説明できることです。
③ 営業担当者がコントロールできない数字だけを見る
売上や受注は重要ですが、顧客の判断によって左右される部分もあります。
そこで、結果だけでなく、
- アプローチ数
- フォロー数
- 商談数
- 提案数
など、自分で改善しやすい数字も組み合わせます。
④ 数字を集計するだけで改善しない
毎週KPIを集計していても、
「今週の商談数は8件でした」
で終わってしまえば、単なる報告です。
確認したいのは、
- 目標との差はいくつか
- なぜ差が生まれたのか
- 来週どう改善するのか
です。
⑤ KPIが営業担当者を詰める数字になる
KPIが、
「なぜこの数字を達成できなかったんだ?」
と責任を追及するためだけに使われると、営業担当者は数字を報告すること自体を嫌がるようになります。
KPIの目的は、未達の人を見つけることではありません。
どこに問題があり、何を変えれば成果へ近づくのかを見つけることです。
営業KPIは売上目標から逆算して作る
では、実際に営業KPIを作ってみましょう。
基本的な考え方は、最終目標から逆算することです。
STEP1|売上目標を決める
例えば、月間売上目標を1,000万円とします。
STEP2|平均受注単価から必要受注件数を出す
平均受注単価が100万円なら、
1,000万円 ÷ 100万円 = 10件
なので、月10件の受注が必要です。
STEP3|受注率から必要商談数を出す
過去実績から、商談から受注につながる割合が25%だったとします。
10件 ÷ 25% = 40件
つまり、10件受注するためには約40件の商談が必要になります。
STEP4|商談化率から必要アポイント数を出す
アポイントから実際の商談へ進む割合が80%なら、
40件 ÷ 80% = 50件
約50件のアポイントが必要です。
STEP5|アポ獲得率から必要アプローチ数を出す
新規アプローチからアポイントにつながる割合が10%なら、
50件 ÷ 10% = 500件
500件のアプローチが必要という計算になります。
売上目標を営業活動まで分解するとこうなる
| 指標 | 目標 |
|---|---|
| 売上 | 1,000万円 |
| 平均受注単価 | 100万円 |
| 受注件数 | 10件 |
| 受注率 | 25% |
| 必要商談数 | 40件 |
| 商談化率 | 80% |
| 必要アポイント数 | 50件 |
| アポ獲得率 | 10% |
| 必要アプローチ数 | 500件 |
こうして分解すると、
「売上1,000万円を達成しろ」
という大きな目標が、
「月50件のアポイントを作る」
さらに、
「月500件のアプローチが必要」
という具体的な行動へ変わります。
営業KPIは、売上という結果を、日々の行動まで分解するための設計図です。
KPIは過去の実績を使って逆算する
先ほどの受注率25%やアポ獲得率10%を、何となく決めてはいけません。
できれば過去の営業実績を使います。
例えば直近3か月で、
商談:100件
受注:20件
なら、受注率は20%です。
また、
アプローチ:1,000件
アポイント:80件
なら、アポ獲得率は8%です。
こうした実績をもとに必要件数を逆算したほうが、現実的なKPIを設定できます。
ただし、過去実績をそのまま固定する必要はありません。
営業方法を改善して受注率を20%から25%へ引き上げる、といった目標を設定することもできます。
営業で見るべき代表的なKPI
ここからは、営業活動で使われる代表的なKPIを紹介します。
すべてを管理する必要はありません。
自社の営業プロセスと売上目標に合わせて選びましょう。
① 売上
まず確認したいのが売上です。
売上は厳密には最終成果側の指標として扱われることもありますが、営業活動全体を見るうえで欠かせない数字です。
例えば、
- 月間売上
- 年間売上
- 新規売上
- 既存顧客売上
などに分けて確認できます。
重要なのは売上だけを見て終わらないことです。
未達なら、受注件数・平均単価・商談数などへ分解して原因を探します。
② 受注件数
売上を構成する基本的な数字です。
例えば、
売上 = 受注件数 × 平均受注単価
と考えられます。
売上が足りない場合、受注件数が不足しているのか、単価が低下しているのかで対策は変わります。
③ 平均受注単価
平均受注単価は、
売上 ÷ 受注件数
で確認できます。
例えば10件受注していても、平均単価が想定より低ければ売上目標へ届かない場合があります。
その場合は、
- 上位プランを提案する
- 関連商品を追加提案する
- 値引き率を見直す
- より単価の高い顧客層へアプローチする
などを検討できます。
④ 商談数
受注を増やすためには、一定数の商談が必要です。
例えば受注率25%なら、10件受注するためには単純計算で40件程度の商談が必要になります。
そのため月の途中で、
必要商談数40件に対して、現在15件。
と分かれば、売上が確定する前に不足へ気づけます。
ただし、商談数だけを増やしても受注率が大きく下がれば意味がありません。
量と転換率をセットで見ることが重要です。
⑤ 受注率
受注率は、商談や提案のうち何件が受注につながったかを見る指標です。
例えば、
受注率 = 受注件数 ÷ 商談件数 × 100
として確認できます。
40件商談して10件受注なら、受注率は25%です。
受注率が低下している場合は、単に商談数を増やす前に、
- ターゲットは適切か
- ヒアリングで課題を把握できているか
- 提案内容が課題に合っているか
- 決裁者へ提案できているか
- 競合との差別化ができているか
- クロージングのタイミングは適切か
などを確認します。
営業のヒアリングを見直したい場合は、こちらの記事も参考になります。
【保存版】営業ヒアリングのコツとは?成約率が上がる質問例・会話例・ChatGPT活用法まで徹底解説!
KPIは単独ではなく「つながり」で見る
営業KPIで大切なのは、一つの数字だけを評価しないことです。
例えばアポイント数が前月より増えたとします。
一見すると良い結果です。
しかし、
アポイント50件 → 商談40件 → 受注10件
だったものが、
アポイント80件 → 商談60件 → 受注5件
になっていたらどうでしょうか。
アポイント数は増えていますが、最終的な受注は減っています。
この場合、アポイントの質やターゲット、商談内容などを確認する必要があります。
KPIは「数字が増えたか減ったか」だけでなく、前後の数字とのつながりを見ることが重要です。
営業KPIで最初に見るべきは「どこが詰まっているか」
売上目標に届いていないとき、すべてのKPIを同時に改善する必要はありません。
まず、営業プロセスのどこで数字が落ちているのかを確認します。
例えば、
アプローチ → アポイント → 商談 → 提案 → 受注
という流れの中で、アポイントまでは順調なのに商談から提案へ進んでいないなら、そこが改善候補です。
逆に受注率が高いのに売上が足りないなら、商談数を増やしたほうが成果につながる可能性があります。
営業KPI管理とは、すべての数字を上げることではありません。売上目標達成を邪魔しているボトルネックを見つけ、そこから改善することです。
前半②では、さらに⑥アポイント数、⑦アポ獲得率、⑧新規アプローチ数、⑨案件化率、⑩商談期間、⑪既存顧客継続率、⑫アップセル・クロスセルなどのKPIを詳しく解説します。
さらに、売上目標から必要な営業活動を計算できる「営業KPI設定シート」、KPIを増やしすぎない方法、個人営業と営業チームでKPIを設定するときの考え方まで紹介します。
⑥ アポイント数
アポイント数は、商談の入口となる重要なKPIです。
新規営業では、どれだけ良い提案ができても、そもそも商談機会がなければ受注にはつながりません。
例えば、受注率25%で月10件の受注が必要なら、前半①で紹介したように約40件の商談が必要になります。
さらに、アポイントから実際の商談へ進む割合が80%なら、約50件のアポイントが必要です。
このように、アポイント数は単独で決めるのではなく、
必要受注件数 → 必要商談数 → 必要アポイント数
という順番で逆算します。
アポイント数だけを増やせばいいわけではない
注意したいのは、アポイント数だけをKPIにすると、質の低い商談が増える可能性があることです。
例えば、
- 対象外の企業にもアポイントを取る
- ニーズがほとんどない相手とも商談する
- とにかく件数だけを優先する
という状態です。
その結果、アポイント数は達成しているのに受注率が大きく下がることがあります。
アポイント数は、商談化率や受注率とセットで確認することが重要です。
⑦ アポ獲得率
アポ獲得率は、アプローチした相手のうち、何件がアポイントにつながったかを見る指標です。
例えば、
アポ獲得率 = アポイント数 ÷ アプローチ数 × 100
で確認できます。
500件アプローチして50件のアポイントを獲得した場合、アポ獲得率は10%です。
アポ獲得率が低いときに確認すること
アポ獲得率が低い場合、単純にアプローチ数を増やす前に、
- ターゲット企業は適切か
- 担当者へ届いているか
- 電話やメールの内容は分かりやすいか
- 相手にとって話を聞くメリットがあるか
- 提案するタイミングは適切か
を確認します。
例えばターゲットがずれているなら、架電件数を2倍にしても効率は改善しないかもしれません。
KPIは「もっと件数を増やす」ためだけではなく、「効率を改善できないか」を考えるためにも使えます。
⑧ 新規アプローチ数
新規アプローチ数は、営業担当者自身が比較的コントロールしやすい行動指標です。
例えば、
- 電話
- メール
- 問い合わせフォーム
- 紹介依頼
- SNS
- 展示会後のフォロー
などを通じて、新しい見込み顧客へ接触した件数を管理します。
新規営業の場合、一定数のアプローチがなければ、将来のアポイントや商談も減っていきます。
新規アプローチ数は未来の売上を作る数字
例えば今月の売上が好調でも、新規アプローチがほとんどゼロなら、翌月以降の商談が不足する可能性があります。
そのため、
今月の売上は達成しているから問題ない。
だけではなく、
来月・再来月につながる営業活動はできているか?
も確認します。
売上は過去の営業活動の結果、新規アプローチは未来の売上を作る活動と考えると分かりやすいでしょう。
⑨ 案件化率
案件化率は、商談した顧客のうち、具体的な案件へ進んだ割合を見る指標です。
例えば、
案件化率 = 案件化した件数 ÷ 商談件数 × 100
として確認できます。
40件商談して20件が具体的な提案や見積の段階へ進んだ場合、案件化率は50%です。
商談は多いのに案件化しない場合
商談数は多いのに案件化率が低い場合、
- ターゲット企業が合っていない
- 顧客の課題を引き出せていない
- 導入時期が遠い
- 予算がない
- 提案できる商品と課題が合っていない
可能性があります。
この場合も、単純に商談数だけを増やすのではなく、案件化しない理由を分析します。
営業の案件管理については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
営業の案件管理完全ガイド|案件が止まる原因と受注まで進める管理方法・項目・テンプレート
⑩ 商談期間
商談期間は、案件が発生してから受注までにどの程度の時間がかかっているかを見る指標です。
例えば、平均して、
- 30日
- 60日
- 90日
などです。
法人営業では、受注件数だけでなく、受注までの期間も重要になります。
例えば同じ年間100件受注でも、平均商談期間が90日から60日に短縮できれば、売上の計画を立てやすくなる可能性があります。
商談期間が長くなっている原因を確認する
商談期間が長期化している場合は、
- 決裁者へ提案できていない
- 顧客の課題が明確ではない
- 見積提出まで時間がかかっている
- 契約条件の調整に時間がかかる
- 顧客側の導入時期が遠い
など、どこで時間がかかっているのか確認します。
商談期間を見ると、営業プロセスの「時間のボトルネック」を見つけやすくなります。
⑪ 既存顧客継続率
営業KPIは新規営業だけではありません。
既存顧客を担当している場合は、継続率も重要です。
例えば、
継続率 = 契約を継続した顧客数 ÷ 更新対象顧客数 × 100
などとして確認できます。
既存契約が積み上がるサービスでは、新規契約を増やしても解約が多ければ売上が安定しません。
そのため、
- 更新件数
- 継続率
- 解約件数
- 解約理由
なども確認します。
継続率は営業だけで改善できないこともある
顧客が解約する理由は、
- 商品・サービスへの不満
- サポート
- 価格
- 顧客側の事情
- 競合への切り替え
などさまざまです。
そのため継続率を営業担当者だけの責任にするのではなく、解約理由を分類し、必要に応じて商品・サポート部門とも共有します。
⑫ アップセル・クロスセル
既存顧客の売上を伸ばす場合は、アップセルやクロスセルもKPI候補になります。
アップセルは、現在より上位の商品・プランへ切り替えてもらうこと。
クロスセルは、関連する別の商品・サービスを追加で契約してもらうことです。
例えば、
- 追加提案件数
- 追加受注件数
- 追加受注率
- 既存顧客1社あたり売上
などを確認できます。
新規顧客だけで売上を作るのではなく、既存顧客との取引を広げることも営業戦略の一つです。
契約後の追加受注やリピートについては、こちらの記事も参考になります。
営業は契約して終わりじゃない!紹介・リピート・追加受注につなげるアフターフォロー完全ガイド
営業KPI一覧|新規・商談・受注・既存顧客で整理
ここまで紹介したKPIを営業プロセスごとに整理すると、次のようになります。
| 営業プロセス | KPI例 |
|---|---|
| 新規開拓 | アプローチ数・アポ数・アポ獲得率 |
| 商談 | 商談数・案件化率・提案件数 |
| 案件 | 案件数・案件金額・商談期間 |
| 受注 | 受注件数・受注率・平均単価・売上 |
| 既存顧客 | 継続率・解約率・追加受注・顧客単価 |
すべてを同時に重点管理する必要はありません。
自社の営業で最も改善したい場所からKPIを選びます。
そのまま使える営業KPI設定シート
営業KPIを設定するときは、最終的な売上目標から順番に数字を分解してみましょう。
次のテンプレートをExcelやスプレッドシートなどへコピーして使えます。
【営業KPI設定シート】
■最終目標
月間売上目標:
年間売上目標:
■受注
平均受注単価:
必要受注件数:
現在の受注件数:
目標との差:
■商談
現在の受注率:
必要商談数:
現在の商談数:
目標との差:
■アポイント
商談化率:
必要アポイント数:
現在のアポイント数:
目標との差:
■新規アプローチ
アポ獲得率:
必要アプローチ数:
現在のアプローチ数:
目標との差:
■案件
案件化率:
現在の案件数:
案件総額:
平均商談期間:
■既存顧客
更新対象顧客数:
継続件数:
継続率:
追加提案件数:
追加受注件数:
■改善
現在もっとも不足しているKPI:
原因の仮説:
今週改善すること:
担当者:
確認日:
KPI設定シートの使い方
ポイントは、すべての欄を埋めることではありません。
まず、
売上目標を達成するには何件受注が必要か?
を計算します。
次に、
その受注件数を作るには何件商談が必要か?
さらに、
その商談数を作るには何件アポイントが必要か?
と逆算します。
そのうえで現在の実績と比較します。
例えば、
| KPI | 目標 | 現在 | 差 |
|---|---|---|---|
| アプローチ | 500件 | 480件 | -20件 |
| アポイント | 50件 | 30件 | -20件 |
| 商談 | 40件 | 25件 | -15件 |
| 受注 | 10件 | 6件 | -4件 |
だったとします。
アプローチ数はほぼ達成しています。
一方でアポイントが大きく不足しています。
この場合、
「もっとアプローチ件数を増やそう」
だけではなく、
「アポ獲得率を改善できないか?」
を考えるほうが重要かもしれません。
KPIは数字を達成することだけでなく、「どこを改善するのが最も効果的か」を判断するために使います。
KPIを増やしすぎない|重点KPIは3〜5個から考える
営業管理を始めると、あれもこれも数字で追いたくなります。
しかし、重点KPIが多すぎると、営業担当者は何を優先すればいいのか分からなくなります。
例えば、
- 売上
- 受注件数
- 商談数
- アポ数
- アプローチ数
- 提案件数
- 架電数
- メール数
- 訪問数
- 既存フォロー数
を全部同じ重要度で管理すると、KPI管理そのものが負担になります。
「見る数字」と「重点的に改善する数字」を分ける
例えば数字としては10項目記録していても、今月重点的に改善するKPIは、
- アポ獲得率
- 商談数
- 受注率
の3つだけにする方法があります。
そして来月、状況が改善したら重点KPIを変更します。
KPIは固定されたノルマではなく、現在の営業課題に合わせて重点を変えていくものと考えましょう。
個人営業と営業チームではKPIの見方が違う
個人営業と営業チーム全体では、KPIの使い方が少し違います。
個人KPI|自分の改善ポイントを見る
営業担当者個人なら、
- 自分の商談数
- 自分の受注率
- 自分の平均単価
- 自分のアポ獲得率
などを確認します。
例えば、チーム平均より受注率が高いのに商談数が少ないなら、商談機会を増やすことが改善ポイントかもしれません。
チームKPI|人による違いを見る
営業マネージャーなら、チーム全体の数字と担当者別の違いを確認できます。
例えば、
| 担当者 | 商談数 | 受注率 | 平均単価 |
|---|---|---|---|
| Aさん | 30件 | 30% | 100万円 |
| Bさん | 45件 | 15% | 110万円 |
| Cさん | 20件 | 35% | 95万円 |
この場合、
- Aさん:バランスが良い
- Bさん:商談数は多いが受注率改善の余地がある
- Cさん:受注率は高いので商談数を増やせれば売上を伸ばせる可能性がある
というように、同じ売上目標でも支援内容を変えられます。
チームKPIの目的はランキングを作ることではなく、担当者ごとに異なる改善ポイントを見つけることです。
KPIは目標値だけでなく「転換率」を見る
営業KPIを改善するときに重要なのが、各プロセスの転換率です。
例えば、
アプローチ → アポイント → 商談 → 受注
なら、
- アポ獲得率
- 商談化率
- 受注率
を確認します。
例えば、
| 項目 | 先月 | 今月 |
|---|---|---|
| アポ獲得率 | 10% | 6% |
| 商談化率 | 80% | 82% |
| 受注率 | 25% | 26% |
だった場合、商談以降は大きく悪化していません。
問題はアポ獲得率にありそうです。
そこで、
- ターゲット
- アプローチ方法
- 営業メール
- 電話トーク
などを重点的に改善します。
最終結果が悪くても、途中の転換率を見ることで「どこから直すべきか」が分かります。
KPIは週次で確認する
月末だけKPIを確認しても、改善できる時間が残っていないことがあります。
そこで、週次で確認する方法があります。
例えば月間目標が、
- アプローチ500件
- アポイント50件
- 商談40件
- 受注10件
なら、単純な目安として週ごとの進捗も確認します。
ただし営業活動は毎週均等に進むとは限りません。
重要なのは、単純に4分の1を達成しているかではなく、
このペースで月末目標へ届くか?
を見ることです。
週次KPIレビューで確認する5つの質問
- 今週もっとも不足したKPIはどれか?
- 目標との差はどのくらいあるか?
- なぜその差が生まれたのか?
- 来週どの数字を重点的に改善するか?
- そのために具体的に何をするか?
例えば、
商談数が目標より5件不足。原因はアポ獲得率低下。来週は過去反応の良かった業界へターゲットを絞り、メール文面を変更する。
というところまで決めます。
KPIレビューは数字を読み上げる時間ではなく、翌週の行動を決める時間にしましょう。
KPI未達でも、すべての活動量を増やさない
営業KPIが未達になると、
「電話も増やそう、メールも増やそう、商談も増やそう」
となりがちです。
しかし、すべてを同時に増やすと営業担当者の負担だけが大きくなる可能性があります。
例えば、受注率が高く、商談数だけが不足しているなら、必要なのは商談機会を増やすことです。
一方で商談数は十分なのに受注率が低いなら、さらに商談を増やす前に提案内容を改善したほうがよい場合があります。
KPI管理では「もっと活動する」ではなく、「どの数字を変えると最も売上へ影響するか」を考えることが重要です。
営業KPIとPDCAをつなげる
KPIは設定して終わりではありません。
定期的に数字を確認し、改善を繰り返します。
例えば、
- 売上目標からKPIを設定する
- 営業活動を実行する
- 実績と目標の差を確認する
- ボトルネックを特定する
- 改善策を実行する
- 再度KPIを確認する
という流れです。
これは営業PDCAそのものです。
例えばアポ獲得率が低いなら、
ターゲットを変更する → 1週間試す → アポ率を確認する → 改善したか判断する
というように、小さく改善を繰り返します。
営業PDCAについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
営業PDCA完全ガイド|成果を出すための改善サイクルの回し方
KPI設定で大切なのは「営業担当者が理由を理解できること」
上司から突然、
「来月から毎日50件電話してください」
と言われても、なぜ50件なのか分からなければ、単なるノルマに感じやすくなります。
一方で、
「売上目標から逆算すると月40商談が必要。現在のアポ率を考えると500件のアプローチが必要なので、営業日20日なら1日25件が目安」
と説明できれば、数字の意味が分かります。
KPIは上から与える数字ではなく、「なぜこの数字が必要なのか」を営業担当者が理解できる状態を作ることが重要です。
営業KPIのゴールは「数字を管理すること」ではない
KPIを細かく設定すると、数字そのものに意識が向きやすくなります。
しかし、KPIの最終目的は、
アポイント50件を達成すること。
ではありません。
その先にある、
売上目標を達成すること。
です。
そのため、アポイント数を達成していても受注につながっていなければKPI設計を見直す必要があります。
逆に、少ない商談数でも受注率や平均単価が高く、売上目標を達成できているなら、必要以上に件数だけを増やす必要はありません。
営業KPIは、数字を増やすための管理ではなく、売上につながる営業活動を見つけるための仕組みです。
後半では、さらに実務的に、「アポが少ない」「商談は多いのに売れない」「受注件数はあるのに売上未達」などケース別のKPI改善方法、営業会議で見るべきKPI、KPIを使って営業担当者を詰めない方法、Excel・スプレッドシートでの管理例、ChatGPTを使った営業実績分析、FAQ、営業KPIチェックリストまで解説します。
KPI未達のときは「どこが悪いか」で改善策を変える
営業KPIを設定しても、毎月すべての数字を達成できるとは限りません。
重要なのは、未達だったときに、
「もっと頑張ろう」
で終わらせないことです。
KPIは、営業プロセスのどこに問題があるのかを見つけるために使います。
ここでは代表的なケースごとに、どの数字を確認すればいいのか整理します。
ケース① アポイントが少ない
アポイント数が目標に届いていない場合は、まず次の2つを分けて考えます。
- アプローチ数そのものが少ない
- アプローチしているがアポ獲得率が低い
例えば、必要アプローチ数500件に対して300件しか行っていないなら、活動量不足が原因かもしれません。
一方で500件アプローチしているのに、想定50件に対して20件しかアポイントが取れていないなら、アポ獲得率を見直します。
その場合は、
- ターゲット企業
- 電話トーク
- 営業メール
- 提案するタイミング
- 相手に伝えているメリット
などを確認します。
「アポが少ない=もっと電話する」ではなく、件数と転換率を分けて考えることが重要です。
ケース② 商談数は多いのに案件化しない
商談件数は十分なのに具体的な提案や見積へ進まない場合は、案件化率を確認します。
原因としては、
- そもそもターゲットが合っていない
- 顧客の課題を把握できていない
- 導入時期が遠い
- 予算がない
- 商品と顧客課題が合っていない
などが考えられます。
この場合は、商談数をさらに増やす前に、ヒアリングやターゲット設定を見直したほうがよいでしょう。
ケース③ 案件は多いのに受注できない
案件数や提案件数は十分なのに受注が少ない場合は、受注率を確認します。
例えば、
提案20件 → 受注2件
なら受注率は10%です。
この場合は、
- 決裁者まで提案できているか
- 競合比較で負けていないか
- 提案内容が課題に合っているか
- 価格の説明ができているか
- 導入時期を確認できているか
を見直します。
案件ごとの状況確認については、こちらの記事も参考になります。
営業の案件管理完全ガイド|案件が止まる原因と受注まで進める管理方法・項目・テンプレート
ケース④ 受注件数は達成しているのに売上未達
受注件数が目標を達成しているのに、売上が足りないこともあります。
その場合は、平均受注単価を確認します。
例えば、
目標:10件 × 平均100万円 = 1,000万円
だったものが、
実績:10件 × 平均70万円 = 700万円
なら、件数ではなく単価が原因です。
この場合は、
- 上位プランを提案できないか
- 追加商品を組み合わせられないか
- 値引きが増えていないか
- ターゲット顧客の規模が小さくなっていないか
などを確認します。
ケース⑤ 売上は達成しているが来月の案件が少ない
今月の売上を達成していると安心したくなります。
しかし、新規アプローチや商談が減っている場合、翌月以降の売上が不足する可能性があります。
そこで、
- 新規アプローチ数
- アポイント数
- 新規商談数
- 案件総額
も確認します。
売上は過去の営業活動の結果なので、未来の売上につながるKPIも同時に見ることが大切です。
ケース⑥ 案件総額は大きいのに売上予測が当たらない
案件管理表には十分な金額があるのに、月末になると受注予定がずれるケースです。
この場合は、
- 受注確度
- 受注予定日
- 商談期間
- 決裁状況
を確認します。
営業担当者の希望だけで受注予定日や確度を設定していると、案件総額が大きくても正確な売上予測にはなりません。
顧客の意思決定プロセスに基づいて管理しましょう。
KPI改善は「量・率・単価」の3つに分けると考えやすい
営業KPIが複雑に感じる場合は、大きく3つに分けて考える方法があります。
| 分類 | 代表的なKPI |
|---|---|
| 量 | アプローチ数・アポ数・商談数・受注件数 |
| 率 | アポ獲得率・案件化率・受注率・継続率 |
| 単価 | 平均受注単価・顧客単価 |
売上が足りない場合に、
量が不足しているのか?
それとも、
転換率が低いのか?
あるいは、
単価が低いのか?
を確認します。
営業KPIを「量・率・単価」に分けると、改善する場所を整理しやすくなります。
営業会議で見るべきKPIは何?
営業会議で多くの数字を毎回読み上げる必要はありません。
会議では、意思決定に必要なKPIへ絞ります。
例えば、
- 売上実績
- 受注見込み
- 商談数
- 受注率
- 案件総額
- 重点KPIの進捗
などです。
営業会議では「結果→原因→対策」で見る
例えば、
売上目標1,000万円に対して実績700万円です。
だけでは、単なる報告です。
そこから、
受注件数は目標どおりですが、平均単価が100万円から70万円へ低下しています。
さらに、
小規模案件の比率が増えたことが原因なので、来月は既存顧客への追加提案と大型案件の新規開拓を重点化します。
まで話せれば、KPIが改善につながります。
営業会議では「数字を報告する」ではなく、「数字から次の行動を決める」ことを目的にしましょう。
営業会議で使えるKPI報告テンプレート
【営業KPI週次報告】
■売上
目標:
実績:
達成率:
■重点KPI
KPI名:
目標:
実績:
差:
■前週からの変化
改善した数字:
悪化した数字:
■原因
数字が変化した理由:
■来週の重点課題
改善するKPI:
■具体的な行動
何をするか:
件数:
期限:
■支援依頼
上司・他部署へ相談したいこと:
この形なら、会議で数字を読み上げるだけではなく、改善策まで共有できます。
KPIを使って営業担当者を「詰める」のは逆効果
KPI管理をすると、どうしても達成・未達が明確になります。
そこで未達の担当者に、
「なんでできていないの?」
と問い詰めるだけでは、KPI管理が逆効果になることがあります。
営業担当者が、
- 悪い数字を隠す
- 無理に確度を高くする
- 質の低いアポイントを増やす
- 数字だけ合わせる行動をする
ようになれば、本来の目的から外れてしまいます。
「なぜ未達?」ではなく「どこで詰まっている?」と聞く
例えばアポイント未達なら、
「アプローチ数とアポ獲得率、どちらに原因がありそう?」
と確認します。
受注率が低いなら、
「案件化後のどの段階で止まることが多い?」
と聞きます。
すると、営業担当者自身も原因を考えやすくなります。
KPI管理の目的は、未達者を探すことではなく、改善可能な場所を探すことです。
良いKPIは営業担当者自身が改善に使える
営業担当者から見て、KPI管理が上司への報告作業だけになると、入力の負担感が強くなります。
一方で、
- 自分は商談数が少ない
- 自分はアポ率が高い
- 受注率はチーム平均より低い
- 平均単価は高い
と分かれば、自分の営業の強みと課題を分析できます。
例えば、
「自分は受注率が高いから、商談数を増やせれば売上を伸ばせそう」
という仮説を立てられます。
KPIは営業担当者自身が自分の営業を改善するために使える状態が理想です。
Excel・スプレッドシートで営業KPIを管理する方法
営業人数が少なければ、ExcelやGoogleスプレッドシートでもKPI管理はできます。
例えば、担当者ごとに次の項目を管理します。
担当者
売上目標
売上実績
受注件数
平均受注単価
商談数
受注率
アポイント数
アポ獲得率
アプローチ数
案件数
案件総額
既存顧客継続率
月次だけでなく週次実績も残す
月末の数字だけでは、どのタイミングで問題が起きたのか分かりにくくなります。
そこで、
- 第1週
- 第2週
- 第3週
- 第4週
ごとに実績を残す方法があります。
すると、
第2週からアポ獲得率が下がっている。
といった変化を確認できます。
目標・実績・達成率を並べる
例えば、
| KPI | 目標 | 実績 | 達成率 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 1,000万円 | 800万円 | 80% |
| 受注件数 | 10件 | 8件 | 80% |
| 商談数 | 40件 | 45件 | 112.5% |
| 受注率 | 25% | 17.8% | - |
という形です。
この場合、商談数は目標以上なのに受注件数が不足しています。
そのため、営業量より受注率を重点的に確認する必要があります。
営業KPIをグラフにすると変化を見つけやすい
数字だけでは分かりにくい場合は、月ごとの推移をグラフにする方法があります。
例えば、
- 売上推移
- 商談数推移
- 受注率推移
- 平均単価推移
などです。
3か月、6か月と並べると、
商談数は増えているのに受注率が徐々に下がっている。
といった変化を見つけやすくなります。
ChatGPTを使って営業KPIを分析する方法
営業実績を整理したあと、生成AIを分析の補助として使う方法もあります。
例えば、
「どのKPIがボトルネックになっているか分析してください」
と相談できます。
そのまま使える営業KPI分析プロンプト
あなたは法人営業の営業マネージャーです。
以下の営業KPIを分析してください。
【目標】
売上:
受注件数:
平均受注単価:
商談数:
受注率:
アポイント数:
アポ獲得率:
アプローチ数:
【実績】
売上:
受注件数:
平均受注単価:
商談数:
受注率:
アポイント数:
アポ獲得率:
アプローチ数:
【分析してほしいこと】
1. 目標との差が大きいKPI
2. 売上未達に最も影響している可能性が高いKPI
3. 営業プロセス上のボトルネック
4. 改善する優先順位
5. 来週実行できる具体的な改善案を3つ
【ルール】
・入力された数字だけを事実として扱う
・原因を断定せず、推測する場合は「仮説」と明記する
・単純に活動量を増やす以外の改善策も考える
AI分析では数字の背景まで伝える
数字だけでは、実際の営業状況までは分かりません。
例えば受注率が下がった理由が、
- 新しい商品を販売し始めた
- ターゲット層を変更した
- 競合が値下げした
- 新人営業の比率が増えた
ことかもしれません。
そのためAIへ分析を依頼する場合も、必要に応じて背景情報を追加します。
AIは答えを決めてもらうためではなく、数字から考えられる仮説を増やすために使うとよいでしょう。
また、顧客情報や社内の機密情報を外部AIへ入力する場合は、勤務先の利用ルールや情報管理ルールを確認してください。
KPI改善は一度に1〜2個へ絞る
分析すると、複数の課題が見つかることがあります。
例えば、
- アポ率が低い
- 受注率も低い
- 平均単価も低い
という状態です。
しかし、すべてを同時に改善しようとすると、何が効果を出したのか分からなくなります。
そこで最も影響が大きそうなKPIから、一つまたは二つに絞ります。
例えば、
今月は受注率改善を重点KPIにする。
と決めて、
- 商談前ヒアリング項目を見直す
- 決裁者確認を必須にする
- 提案書レビューを実施する
などを試します。
その後、受注率が改善したか確認します。
営業KPIは3か月ごとに見直す
KPIは一度設定したら永遠に同じ数字を使うものではありません。
例えば、
- 商品が変わった
- 単価が変わった
- ターゲットが変わった
- 営業手法が変わった
- 市場環境が変わった
場合は、必要なKPIも変わる可能性があります。
また、アポ獲得率が大きく改善したなら、これまで重点管理していたアポ率より、次のボトルネックを重点KPIへ変更できます。
KPIは営業課題に合わせて更新するものと考えましょう。
営業KPIに関するよくある質問(FAQ)
Q. 営業KPIとは何ですか?
売上などの最終目標を達成するために、営業活動の途中経過を確認する指標です。
商談数、受注率、アポイント数、平均受注単価などが代表例です。
Q. 営業KPIは何個くらい設定すればいいですか?
必要な管理指標は営業内容によって異なります。
ただし重点的に改善するKPIを増やしすぎると、優先順位が分かりにくくなります。
まず3〜5個程度の重要指標から考え、営業課題に応じて見直す方法があります。
Q. KGIとKPIの違いは何ですか?
KGIは最終的な目標、KPIはその目標を達成するまでの途中経過を確認する指標です。
例えば「月間売上1,000万円」がKGIなら、その達成に必要な受注件数や商談数などをKPIとして設定できます。
Q. 架電数はKPIですか?
営業プロセスによっては管理対象になります。
ただし架電件数そのものを目的にするのではなく、アポイント数や売上との関係を確認することが重要です。
Q. KPIの目標値はどう決めればいいですか?
まず売上などの最終目標を決め、平均単価、受注率、商談化率、アポ獲得率などの過去実績を使って逆算する方法があります。
根拠なく件数だけを設定しないようにしましょう。
Q. KPIが未達の場合は活動量を増やせばいいですか?
必ずしもそうとは限りません。
活動量不足なのか、転換率が低いのか、平均単価が低いのかによって改善策は変わります。
未達になっているKPIの前後を確認しましょう。
Q. 個人KPIとチームKPIは同じでいいですか?
基本指標は共通でも、担当者ごとに改善すべきポイントが違う場合があります。
例えば受注率が高い人は商談数、商談数が多い人は受注率を重点的に改善するなど、個人ごとの課題に合わせて見る方法があります。
Q. KPIは毎日確認したほうがいいですか?
指標によります。
架電数などの行動指標は日次、商談数やアポ率などは週次、売上や受注率などは週次・月次というように分ける方法があります。
重要なのは、改善行動を取れるタイミングで確認することです。
Q. ChatGPTでKPI分析はできますか?
入力した営業実績から、目標との差やボトルネックの仮説、改善案を整理する補助として使えます。
ただし、AIの分析をそのまま正解とせず、実際の営業状況や顧客情報を踏まえて判断しましょう。
営業KPI運用チェックリスト
最後に、自分やチームのKPI管理が機能しているか確認してみましょう。
- □ 最終的な売上目標が明確になっている
- □ 売上目標から必要受注件数を逆算している
- □ 必要商談数を逆算している
- □ 必要アポイント数を逆算している
- □ 必要アプローチ数を逆算している
- □ KPIの目標値に根拠がある
- □ 過去の受注率やアポ率を把握している
- □ 量だけでなく転換率も見ている
- □ 平均受注単価を確認している
- □ 重点KPIを増やしすぎていない
- □ 重点KPIは現在の営業課題とつながっている
- □ KPIを週次で確認している
- □ 未達の原因を分析している
- □ 改善するKPIを1〜2個へ絞っている
- □ 営業会議で次の行動まで決めている
- □ KPIを担当者を責めるためだけに使っていない
- □ 個人ごとの改善ポイントを見ている
- □ KPIと案件管理をつなげている
- □ 定期的にKPI自体を見直している
まとめ|営業KPIは「頑張る場所」を数字で見つけるために使う
営業目標が未達のとき、
「もっと営業活動を増やそう」
だけでは、効率的な改善につながらないことがあります。
必要なのは、売上を営業プロセスへ分解することです。
例えば、
売上 → 受注件数 → 商談数 → アポイント数 → アプローチ数
と逆算します。
そして途中の数字をKPIとして確認します。
今回紹介した代表的な営業KPIには、
- 売上
- 受注件数
- 平均受注単価
- 商談数
- 受注率
- アポイント数
- アポ獲得率
- 新規アプローチ数
- 案件化率
- 商談期間
- 既存顧客継続率
- アップセル・クロスセル
などがあります。
ただし、これらをすべて重要KPIにする必要はありません。
現在の営業課題を確認して、
「どの数字を改善すると、売上目標へ最も近づけるか?」
を考えます。
アプローチ数が少ないなら、行動量を増やす。
アプローチ数は十分なのにアポが少ないなら、アポ獲得率を改善する。
商談数は多いのに売れないなら、受注率を見る。
受注件数は十分なのに売上が足りないなら、平均単価を見る。
営業KPIの価値は、「未達だった」という結果を、「次にどこを改善すればいいか」という行動へ変えられることです。
そして、KPIは営業担当者を監視するためだけのものではありません。
自分の営業を数字で振り返り、
- 何が得意なのか
- どこで詰まりやすいのか
- 次に何を改善するのか
を判断するための道具です。
まずは現在の営業実績から、
- 商談数
- 受注件数
- 受注率
- 平均受注単価
の4つだけでも計算してみてください。
そこから売上未達の原因を一つ選び、翌週の改善行動を決めます。
KPI管理の目的は数字を増やすことではありません。売上目標を達成するために、「今どこを頑張るべきか」を明確にすることです。

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